にんにくは疲労回復をはじめ、身体を温める効果や血糖値の上昇を抑制させる効果など、さまざまな健康効果が期待できる食材です。
しかしにんにくをたっぷり使った料理はカロリーが高いイメージが強く、抵抗があるという人もいるのではないでしょうか?また、カロリーに加え、糖質も気になるところです。
そこで今回はにんにくのカロリーは高いのか、また調理によって栄養は変わってしまうのかといった疑問について、検証していきます!
【目次】
にんにくのカロリーは多い?少ない?
にんにくは他の野菜に比べて、カロリーが多いといわれています。生のにんにく100gあたりのカロリーは129kcalです。
生の玉ねぎ100gあたりのカロリーが33kcalなので、にんにくの方が4倍近くカロリーが高いことになります。とはいえ、にんにくを一度に100g食べるケースはないに等しいでしょう。
にんにくの大きさにもよりますが、一般的な大きさで考えるとにんにく丸ごと1個(1玉)の重量は約50g~60gで、1片あたり5g程度になります。1回のにんにくの使用量を1片(5g)だとするとカロリーは約6kcalです。
にんにくは一度に使う量が少ないため、カロリーが多い食材とはいえカロリーの摂り過ぎになることはほぼないといえます。ダイエット中でも、薬味や調味料として使うのは問題ありません。
しかし、にんにくを丸ごと食べたり1日に何度も食べたりするのは、カロリーが高くなるため避けましょう。
にんにくには糖質が含まれている?
続いては、にんにくの糖質量をチェックしていきましょう。
生のにんにく100gあたりの糖質量は21.3gとなっており、カロリーと同様にやや多いといえます。けれども1片(5g)あたりの糖質量で見ると約1.1gです。
仮に1回の料理で3~4片使った場合でも、糖質量は5g以下に抑えられます。ただし、他の食材で糖質が含まれることが多いため、全体の糖質量のバランスを考えて使うようにしましょう。
カロリーと糖質に気を付ける理由
にんにくは食べ過ぎなければカロリーや糖質を摂り過ぎる心配はありませんが、そもそもなぜカロリーと糖質に気を付けた方が良いのでしょうか。その理由を見ていきましょう。
カロリー
カロリーとはエネルギー(熱量)を表す単位のことで、食品としてのカロリーは、その食材を食べることによって体内で発生するエネルギー量を表します。
人間が活動していく上で食事から与えられるエネルギーは必須であるため、体内で発生するエネルギーが多ければ多いほど、良いような気がするでしょう。
しかし、消費し切れなかったカロリーは脂肪として身体に蓄積し、体重増加につながってしまうのです。
そのため、カロリーが高いものを食べた分、運動や日常での活動でカロリーを多く消費しなければなりません。
こうした理由から、健康に気を使っている人やダイエット中の人は特に、カロリーの摂取量に気を付ける必要があります。
糖質
糖質の摂取量に気を付けた方が良い理由として、血糖値の上昇が挙げられます。糖質は摂取することで、体内でブドウ糖として血管を巡り、エネルギー源となります。
しかし、糖質を摂り過ぎてしまうと、血液中のブドウ糖が過剰に増えてしまい、血糖値が上昇してしまうのです。食後に血糖値が下がらず高い状態が続くことを食後高血糖といいます。
食後高血糖は心筋梗塞や動脈硬化、脳梗塞などのリスクを高めるとされているため、注意が必要です。
また血液中で過剰に増えたブドウ糖は、肝臓に取り込み切れずに中性脂肪に変化し体内に蓄積されることから、肥満の要因になると考えられています。
では、糖質を全く摂らなければ良いのかというとそうではありません。糖質はエネルギー源として欠かせない栄養素でもあるため、極端に減らしたり過剰に摂取したりせずに、適度に摂りつつバランスの良い食事が大切です。
ちなみに、にんにくに含まれるアリシンはビタミンB1と結びつき血糖値の上昇を抑える効果があるといわれています。
調理ごとでも栄養やカロリーは変わる!
にんにくは調理法によって栄養やカロリーが変わる性質を持っています。
ここからは、にんにくの調理法によるカロリー、栄養成分や健康効果を確認していきましょう。
生で食べる場合
にんにくを生で食べる場合、薬味や調味料として活用するため、スライスやみじん切り、おろしにんにくなどにして使うことが多いでしょう。
スライスとみじん切りはほぼ変わりませんが、市販のおろしにんにくは約9kcalとなり、わずかにカロリーが高くなります。理由としては、市販のおろしにんにくにはでんぷんや調味料などが含まれることが挙げられます。
生でにんにくを食べる際は、生のにんにくを刻んだりすりおろしたりすることで、細胞が傷つけられ臭い成分のアリシンが多く発生します。
アリシンには新陳代謝を高め血流を促す作用があるため、身体を温める効果が期待できます。
その他にも滋養強壮や疲労回復効果、血糖値の上昇を抑制する効果、血中コレステロールを抑制する効果、免疫力の低下を防ぐ効果などが期待できるでしょう。
油炒めの場合
にんにくを油で炒めた場合のカロリーは100gあたり191kcalになり、油に包まれている分、生のにんにくよりもカロリーが高くなります。
にんにくは油で加熱することで、酸化を防ぎ、栄養価が下がるのを防ぐといわれています。また、加熱によってアリシンがスコルジニンとアホエンという栄養成分に変化し、抗菌効果や血栓を防ぐ効果などが期待できるのです。
ただし、アリシンからアホエンに変化させるには、80℃程度の低温が条件とされているため、高温調理は控えるのがおすすめです。
にんにく漬けの場合
にんにくを醤油漬けにした場合、100gあたりのカロリーは約61kcalとなっています。にんにく漬けの場合、基本的に皮むきをした後、軽く茹でるか電子レンジで加熱してから漬け込みます。
そのためにんにくを油で炒めるときと同様に、にんにくに含まれるアリシンが加熱によって、スコルジニンとアホエンに変化し、その効果が期待できるでしょう。
また、にんにく1片を刻むことなくそのまま漬け込んでいるため、臭いが抑えられる特徴があります。
さらに、にんにく漬けは生のにんにくよりも保存が利き、栄養を維持できるのが良いところです。
丸焼きの場合
何も手を加えない状態でにんにくを丸焼きにしたときのカロリーは、100gあたり129kcalで生のにんにくとカロリーは変わりないといえます。
しかし、オリーブオイルや塩を加えてホイル焼きにした場合は、100gあたり393kcalとなり、グンとカロリーが高くなります。
油を使っている分カロリーは高くなりますが、加熱と油の作用でにんにくの酸化が防げるため、栄養を壊さずに調理できるのがメリットです。
また、アリシンがスコルジニンとアホエンに変わり、抗菌効果や血栓防止効果が期待できるでしょう。
さまざまな調理法を見てきましたが、結論、栄養効果目的でダイエット中ならにんにくは生で食べるのがおすすめです。
スライスやみじん切り、すりおろしにしてサラダに加えたり、刺身の薬味などにしたりすると栄養とカロリーのバランスが良いでしょう。
臭いが気になる人は、にんにくを刻まないで食べる、にんにく漬けや丸焼きがおすすめです。
にんにくは食べ過ぎなければカロリーは低い!ダイエット中も〇
にんにくは他の野菜に比べるとカロリーが高い方ですが、一度に使う量が少ないため、結果的にカロリーは低いといえます。
ただし、食べる量が増えれば当然ながらカロリーも高くなるため、生なら1日1片まで、加熱して食べるなら1日3~4片を目安にすると良いでしょう。
今回紹介した調理法別のカロリーや栄養効果を参考に、ダイエット中も上手ににんにくを取り入れてみてはいかがでしょうか。
【出典】
・食品データベース(文部科学省)
https://fooddb.mext.go.jp/index.pl