油に溶けやすい性質を持つビタミンEは、抗酸化作用を持つことで知られています。しかし、女性と男性それぞれに嬉しい効果をもたらしてくれることをご存知でしょうか?
ビタミンEを適切に摂取することで、女性と男性によくある健康に関する悩みの改善にもつながるのです。
そこで今回は女性・男性でビタミンEの効果が変わる点について詳しく解説し、おすすめの摂取方法も併せて紹介します!
【目次】
ビタミンEでの女性に嬉しい効果
ビタミンEはホルモンバランスを整えたり、月経前症候群の症状を和らげたりなど、女性の健康に関わるさまざまな効果が期待できます。
まずはビタミンEがもたらす女性に嬉しい効果から見ていきましょう。
ホルモンバランスを整える
ビタミンEは女性ホルモンの分泌と作用を整える働きがあるといわれています。ビタミンEは血液や心臓など体内のさまざまな器官に存在しますが、特に副腎皮質や脳下垂体に多く分布しています。
脳下垂体は血糖値をコントロールする副腎皮質刺激ホルモンや、発育や新陳代謝を促進させる甲状腺刺激ホルモン、女性ホルモンの分泌に働きかける黄体形成ホルモンを産生し、分泌させる器官です。
ビタミンEは女性ホルモンの分泌に働きかける黄体形成ホルモンに作用するため、女性ホルモンの分泌を一定に保ちバランスを整える効果があるというわけです。
ビタミンEが不足すると女性ホルモンの分泌が減少し、ホルモンバランスが崩れる可能性があるため注意しましょう。
月経前症候群の症状を和らげる
ビタミンEは月経前症候群の症状を和らげる効果があるといわれています。
月経前症候群とはPMSとも呼ばれており、月経前3~10日程度続く、精神や身体にもたらす症状のことです。原因は明らかではありませんが、月経前に起こる女性ホルモンの変動と考えられています。
月経前症候群の症状は、イライラやめまい、食欲不振・過食、頭痛・腰痛・むくみなどさまざまです。ビタミンEがこれらの症状を和らげるとされる理由は、先述したように女性ホルモンの分泌を働きかける黄体形成ホルモンに作用するからです。
月経前症候群に悩まされている方は、ビタミンEを摂取することで症状の改善が期待できます。
更年期障害の症状改善が期待できる
ビタミンEは更年期症状にも有効的と考えられています。更年期とは、閉経の5年前から5年後までの10年間のことです。
ホルモンバランスが大きく変化することによって、めまいや頭痛、のぼせ・ほてり・全身の倦怠感・不眠といった症状が見られる場合があります。
また、気分の落ち込みや不安・無気力感などの精神的症状も生じる可能性が高い傾向です。これらの更年期症状がビタミンEによって改善できるとされる理由にも、女性ホルモンの分泌を促す働きが関係しています。
ビタミンEが黄体形成ホルモンに作用し、女性ホルモンの分泌を促します。それによってホルモンバランスが整い、更年期症状の緩和が期待できるでしょう。
妊活にも効果がある!
ビタミンEの化学名である「トコフェロール」はギリシャ語で「子どもを産ませる」という意味を持ち、その意味の通り妊活に効果があるといわれています。
なぜならビタミンEは卵巣にも蓄えられており、脳下垂体に働きかけ生殖機能を維持する役割があるからです。
ビタミンEは生殖機能を促進させる性ホルモンの代謝に関わっており、最近の研究では、ビタミンEと排卵誘発剤の併用によって妊娠率が高まると報告されています。
また、卵子と精子は酸化しやすい性質を持ちますが、ビタミンEの抗酸化作用によって卵子と精子を酸化から守るといわれています。
酸化を防ぐことで妊娠に必要な質の良い卵子と精子を維持できるのです。
男性側もビタミンEを摂ることで、精子数の増加や精力増強の効果があるとされており、男女共に妊活にはビタミンEが欠かせません。
男性のビタミンEの効果は
ビタミンEの効果は、男性の健康にも良い影響をもたらしてくれます。どのような効果が期待できるのか、男性へのビタミンEの効果を詳しく見ていきましょう。
血行促進
ビタミンEは毛細血管を広げる働きがあるため、血行促進効果があるといわれています。身体全体の血のめぐりが良くなるため、血行不良からくる肩こりや冷え性、頭痛、腰痛といった症状の改善が期待できるのです。
血行不良になると栄養分が身体の隅々まで行き渡らなくなるため、老廃物が蓄積し、肩こりや頭痛、自律神経が乱れるなどの症状が表れることがあります。
血行不良が進行すると、脂質異常から動脈硬化などの生活習慣病や脳梗塞、心筋梗塞といった重篤な病気を発症する恐れがあるため注意が必要です。
冷え性は女性に多い傾向ですが、男性で手足が冷えやすい人や肩こり、頭痛などの症状がある人は血行不良の可能性があるため、ビタミンEを摂ることをおすすめします。
精力増強
妊活への効果で「ビタミンEは精子の酸化を防ぎ、精子の数を増やす働きがある」と先述した通り、その働きによって精力増強にもつながるといわれています。
ビタミンEは女性ホルモンだけでなく、男性ホルモンの分泌も促し、生殖機能を維持する役割があるのです。ビタミンEが不足すると精子の質が低下し老化が促進するため、精力が弱まってしまうと考えられます。
精力がないと悩んでいる人や妊活をしている人は、精力増強効果が期待できるビタミンEを摂ると良いでしょう。
女性・男性別に摂取量を注意しよう
性別によるビタミンEの効果を見てきましたが、摂取量も女性・男性で異なります。多く摂ればその分効果が得られるというわけではないため、それぞれの性別に合わせた適正量を守ることが大切です。
ここでは女性・男性別にビタミンEの摂取量を確認していきましょう。
女性のビタミンE摂取量の目安
まずは女性の摂取量の目安から見ていきましょう。
※以下の表はビタミンEの4種類あるトコフェロールのうち、体内で最も多いとされているα-トコフェロールの摂取基準量を示したものです。
【ビタミンE(α-トコフェロール)1日あたりの摂取基準量:女性】
年齢 (女性) |
目安量 | 耐容上限量 |
---|---|---|
18~29歳 | 5.0mg | 650mg |
30~49歳 | 5.5mg | 700mg |
50~64歳 | 6.0mg | 700mg |
65~74歳 | 6.5mg | 650mg |
75歳以上 | 6.5mg | 650mg |
女性は、妊娠中・授乳中の場合、通常よりもビタミンEを多く摂取する必要があります。妊娠中・授乳中におけるビタミンEの摂取目安量は以下の通りです。
【ビタミンE(α-トコフェロール)1日あたりの摂取基準量:妊産婦】
妊婦 | 6.5mg |
授乳婦 | 7.0mg |
ビタミンEは女性ホルモンの代謝に関わり、ホルモンバランスを整える働きがあるため、妊娠中や授乳中は通常よりも意識してビタミンEを摂るように心がけましょう。
男性のビタミンE摂取量の目安
続いて男性におけるビタミンE摂取量の目安をチェックしていきましょう。
【ビタミンE(α-トコフェロール)1日にあたりの摂取基準量:男性】
年齢 (男性) |
目安量 | 耐容上限量 |
---|---|---|
18~29歳 | 6.0mg | 850mg |
30~49歳 | 6.0mg | 900mg |
50~64歳 | 7.0mg | 850mg |
65~74歳 | 7.0mg | 850mg |
75歳以上 | 6.5mg | 750mg |
女性に比べて男性は0.5mg~1mg程度多く摂取する必要があります。また、耐容上限量を見てわかるように目安量を少し超えても健康に影響はないとされています。
食品から摂取する場合には、耐容上限量を上回ることはほぼないでしょう。しかし、サプリメントを過剰に摂取した場合、上限量を超えてしまう可能性があるため注意が必要です。
過剰摂取をすると肝機能などに影響が生じるといわれています。ビタミンEの健康効果を活かすためにも、正しく摂るようにしましょう。
ビタミンEのおすすめ摂取方法
ビタミンEはビタミンAやCと一緒に摂ると、相乗効果があるといわれています。ビタミンAやCには、酸化して失われたビタミンEの効力を活性化させる働きがあるのです。
そのため、ビタミンEを摂る際にはAやCと一緒に摂ることをおすすめします。また、ビタミンEは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に摂ると吸収力が高まるといわれています。
ビタミンEを摂る際には炒めものやドレッシングなど油を使った調理がおすすめです。
ビタミンEの効果を最大限に手に入れよう!
ビタミンEは女性・男性それぞれの健康に嬉しい効果が期待できます。ホルモンバランスを整える働きによって、月経前症候群の症状や更年期症状を緩和できるでしょう。
男性の場合は血行促進や精力増強などにつながります。妊活を考えている夫婦なら共にビタミンEを摂ると良いでしょう。
ぜひ今日からビタミンEを適切に摂取して、健康な毎日を送りましょう。
【出典】
・厚生労働省「ビタミン(脂溶性ビタミン)日本人の食事摂取基準(2020版)」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586561.pdf