私たちの腸内には、健康をサポートするたくさんの善玉菌が存在しており、「ビフィズス菌」もその一つです。最近では、このビフィズス菌と便秘の関係について注目されています。便秘は現代人の多くが経験する問題であり、その原因や解消方法についてさまざまな情報が飛び交っています。
そこで本記事では、ビフィズス菌が便秘に与える影響、ビフィズ菌を増やす方法、便秘になりやすい方の特徴について詳しく解説します。健康な腸内環境を目指す方は参考にしてください。
【目次】
便秘とは
慢性便秘症診療ガイドライン2017の定義によると、「便秘とは本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」をいいます。一般的に排便が3日以上行われない状態や、排便が困難である状態、残便感がある状態、介助が必要である状態などが当てはまります。
腸内環境が悪化すると、善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れ、その結果、排便が滞りやすくなるのです。私たちの腸内には数兆の菌が生息しており、これらの菌群が全体の健康や腸の動きに影響を与えています。
そのなかでも特に腸の動きに関与するのが善玉菌であり、そのバランスが崩れて、便秘や下痢などの腸のトラブルが見られる可能性があるのです。
便秘とビフィズス菌
私たちの腸内には数兆の微生物が存在し、その中でもビフィズス菌は特に注目される存在です。腸内環境に生息する善玉菌が悪玉菌よりも増えて腸内環境が良好になると、腸の動きをスムーズにし、便秘の予防改善にもつながります。
ビフィズス菌は腸内で乳酸や酢酸などの有機酸を生成して、腸内のpHを酸性に傾けて、悪玉菌の増加を抑えることで、腸内環境を良好に保つ働きがあります。
便秘という状態は排便が滞っているだけでなく、腸内環境の乱れが大きく関わっているため、ビフィズス菌を増やして腸内環境を良くすることは、便秘改善の大きな鍵となるのです。
ビフィズス菌を増やすために
私たちの腸内で活躍するビフィズス菌の量を増やすことで、腸内環境が良好に保たれます。貯蓄されることはありませんので、日々の摂取が不可欠です。ではどのようにビフィズス菌を増やせるのか、3つの方法をご紹介します。
1.食物繊維を摂る
食物繊維はビフィズス菌など善玉菌のエサとなり、善玉菌の増殖に役立ちます。ほかにも悪玉菌の増殖に関係する糖質や脂質などを吸着して便となるため、善玉菌が生息しやすい環境づくりをサポートします。
食物繊維が多く含まれているのは大豆製品、野菜、果物、全粒粉のパンやシリアルなどです。日頃の食事で摂取するように心がけましょう。
2.オリゴ糖を摂る
オリゴ糖も食物繊維と同様、ビフィズス菌など善玉菌のエサとなり、善玉菌の増殖に役立ちます。オリゴ糖は玉ねぎ、にんにく、バナナなどの食材の一部に自然に含まれていますが、サプリメントとしても手軽に取り入れられます。
3.ビフィズス菌含有食品を摂る
最後にご紹介するのは、ビフィズス菌自体をそのまま摂取する方法です。ビフィズス菌を増やすだけでなく、腸内の善玉菌全体のバランスを整える役割も果たします。
代表的なビフィズス菌の含有食品としては、ヨーグルトやビフィズス菌飲料が挙げられます。これらの商品には、生きて腸まで到達するビフィズス菌が含まれています。定期的な摂取が腸内環境の改善に役立つでしょう。
また、最近では、ビフィズス菌を特に多く含むサプリメントや、発酵食品も人気があります。選ぶときには、生きた菌が保たれているのかや、添加物の有無、日常の食事に取り入れやすい形状・タイプなのかを確認しましょう。
便秘になりやすい方の特徴
便秘は多くの人々が経験する不快な症状の一つですが、一定の生活習慣や特徴がある方は特に便秘に悩むことが多いとされています。適切な予防方法を知って対策しましょう。
1.高脂肪・高糖質の食事
高脂肪・高糖質の食事は、現代社会での食生活の中でよく見られる傾向で、ファストフードやスナック菓子、甘い飲み物など、手軽に入手できる食品の多くがこれに該当します。
しかし脂質が多い食事や、糖質が多い食事を続けて罹患する糖尿病などが悪玉菌を増やす原因となるため、注意が必要です。食べないという選択肢も一つですが、人は糖質や脂質が大好きなのでなかなか辞められない方もいらっしゃるでしょう。
その場合は無理に我慢するのではなく、量を減らす、頻度を減らす、食事の質を高めるといった工夫で対処します。
2.ストレスがかかる
ストレスは身体のさまざまな機能の悪化につながり、腸の働きにも大きな影響を与えています。ストレスがかかると交感神経が優位となり、これが腸の蠕動運動を抑制し、その結果、便の通過が遅れ、便秘の原因となる可能性があるのです。
また、ストレスは腸内環境にも悪影響を及ぼす可能性があります。精神的なストレスによって、腹痛や下痢などを引き起こす関連性がいくつもの研究で示されています。腸内環境を整えるときには、ビフィズス菌などの善玉菌を増やすのと同時にストレスの軽減も重要です。
1日でリラックスする時間を持つ、適切な休息を取る、趣味や運動によるストレス発散を行う、ストレス源と距離を置く、などの対処を行い腸の健康を維持しましょう。
3.夜更かし
夜更かしや不規則な生活習慣は、体内時計を乱れさせるだけでなく、腸のリズムにも悪影響をもたらします。人の体は、活動時には交感神経が優位になり、休憩時には副交感神経が優位になりとバランスを保っていますが、夜更かしをすると、このリズムが乱れてしまうのです。
腸の蠕動運動は副交感神経と関係しているため、休憩時に活発になります。夜更かしによって活動時間が長くなると十分に消化する時間がなく、本来であれば排泄されるべきものも排泄されずに腸内環境へ影響を与えます。
また睡眠不足はストレス増加につながり、前述の通り腸内環境への影響が考えられます。健康的な腸内環境を守るためには、質の良い睡眠を十分にとることが大切です。夜更かしを避け、一日の終わりにはしっかりと体を休めることを心掛けましょう。
まとめ
便秘は多くの人が経験する不快な症状で、腸内環境の乱れが主な原因と考えられています。腸内に生息する善玉菌の一つであるビフィズス菌は、腸内環境を良好に保つためのキーになります。
ビフィズス菌などの善玉菌を増やすためには、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖の摂取、善玉菌自体をそのまま摂取するビフィズス菌含有食品の摂取がおすすめです。有益な菌を増やし、健康的な腸内環境をサポートしましょう。
またビフィズス菌を増やす努力だけでなく、日頃の生活習慣を改善することも重要です。高脂肪・高糖質の食事、ストレス、夜更かしといった生活習慣は便秘の原因となることが多いので注意しましょう。
日常生活の中でバランスの良い食事や十分な休息、ストレス対策を守ることで、腸の健康を維持し、便秘の予防が可能です。
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