アルギニンは私たちの体にとって重要な役割を担うアミノ酸の一種です。自然に体内で合成されますが、ダイエットやパフォーマンスの向上、また健康維持に役立つため、意図的に摂取する方が多い物質でもあります。
アルギニンを摂るのであれば、アルギニンの働きを効率的に高めたい方も多いでしょう。
そこでこの記事では、アルギニンの働きやトレーニングへの作用、アルギニンが効率的に摂れるタイミングを解説していきます。
【目次】
アルギニンの働き
アルギニンは子どもの成長やダイエット、トレーニングに必要なアミノ酸です。なぜなら免疫機能の強化、成長の促進、さらには疲労感の軽減といった多様な働きがあるためです。具体的に以下で解説していきます。
免疫機能を高める
アルギニンが免疫機能の向上に貢献するのは、3つのメカニズムが考えられます。
まず1つ目は、免疫を強化するマクロファージという免疫システムの一部を支援する働きです。マクロファージは体内に侵入したウイルスや細菌を捕食し、体が侵されないように守ります。
2つ目は、一酸化窒素の生成に関わるためです。一酸化窒素は、病原体を排除する働きから免疫細胞に使用される強力な化学物質といわれています。
3つ目は、アルギニンからポリアミンが生成されるためです。ポリアミンの抗炎症作用によって免疫機能が強化されます。
健康な方はアルギニンを活用して免疫機能の強化が期待できますが、免疫系の疾患を持たれている方は適切な医師の指導を受けましょう。
成長促進
アルギニンは、成長ホルモンの分泌を増やす働きがあります。成長ホルモンは新たな細胞の生成と老化した細胞の修復に必要で、私たちの体の成長をサポートする役割を担います。特に成長期である子どもや青年の成長には欠かせません。
さらに、たんぱく質を合成して筋肉組織の成長や修復にも関わります。筋肉を強化するときは筋繊維を一度壊して修復させる行為を繰り返しますが、そのときにアルギニンが活躍すると考えられています。
以上の理由から、アルギニンは成長期の子どもや青年、スポーツ選手、フィットネス愛好家、そして健康とウェルネスを追求する方などに、特に重要なアミノ酸と認識されています。
疲れの軽減
アルギニンは一酸化窒素を生成することで、疲労軽減の助けをするといわれています。一酸化窒素は血管を拡大させる働きがあります。血管が広がると血流が良くなり、血流に乗って運ばれる酸素や栄養素がより全身に行き渡ることで、各細胞がイキイキすると考えられるのです。
さらに、アルギニンが代謝してできるクレアチンリン酸はエネルギー供給源となるATPの回復にも関与し、筋肉細胞が活性化されます。活動時には体内でクレアチンリン酸とADPからATPが生成され、休息時には逆反応が行われます。常にATPの生成を可能にするため調整しているのです。
アルギニンはトレーニングの質を高める?
次にアルギニンはどのように運動パフォーマンスに影響を与え、持続力や集中力を向上させるのでしょうか。そのメカニズムを解明していきます。
運動前・運動後
運動前にアルギニンを摂取すると、摂取した後1時間ほどをピークに血中のアルギニンが増加します。アルギニンの上昇からさらに1時間ほど経った後に血流量が増大するとされています。
この点から運動前に摂取する場合は1時間前を意識して摂取しましょう。すると筋肉組織の成長と修復のサポートを効率的に行えるでしょう。
一方、運動後のアルギニン摂取は疲労の軽減や免疫機能の強化に寄与します。疲れ切った体を素早く調整できると生活面でも快適に過ごしやすくなるでしょう。
持続力・集中力
アルギニンの摂取は運動による持続力と集中力の向上につながると考えられます。これはアルギニンが一酸化窒素を介して血流を改善し、酸素と栄養素の効率的な運搬を促進するからです。筋肉への酸素供給が増えると、疲労が遅くなり、その結果、運動の持続時間が長くなると考えられます。
また脳内の血流を改善することにより、脳への酸素と栄養素の供給が増加し、集中力や認知機能が向上します。集中力はスポーツにおいて、重要な要素です。
運動パフォーマンスの向上
アルギニンは全体的な運動パフォーマンスの向上に努めます。一酸化窒素の生成を促進し、血流を改善することで、筋肉への酸素と栄養素の供給を促します。疲労を遅らせ、パフォーマンスの持続が期待できるでしょう。
さらに、アルギニンは成長ホルモンの分泌を刺激します。これにより筋肉の修復と成長が促進され、トレーニングによる体の適応を早められるでしょう。
就寝前に摂ることもおすすめ
アルギニンの摂取タイミングとして、就寝前が推奨される場合もあります。その理由を、骨の成長促進、代謝アップ、脂肪の分解の観点から解説します。
骨の成長促進
就寝前の摂取が良いといわれているのは、アルギニンが成長ホルモンの分泌を促進する特性と成長ホルモンが主に睡眠中に分泌されるためです。
成長ホルモンは、特に子どもや青年の成長期に必須で、骨の成長を促進する重要な役割を担っています。さらに骨密度を高める働きもあり、女性や高齢者が罹患しやすい骨粗鬆症の予防にも必須です。
またアルギニンは一酸化窒素の生成を促進し、骨組織への血流を改善します。これにより、骨に必要な酸素と栄養素が届き、骨の健康が維持されます。
代謝アップ
就寝前のアルギニン摂取は、夜間の代謝活動を高めるといわれています。アルギニンは代謝をあげる働きがある成長ホルモンの分泌を刺激します。成長ホルモンは就寝中に分泌されるため、就寝前にアルギニンを摂取すると就寝中の成長ホルモンの分泌を促せると考えられているのです。
脂肪の分解など
アルギニンは成長ホルモンを促進することで、脂肪の分解と利用を促進します。特に睡眠中に行われるため、就寝前のアルギニン摂取は夜間の脂肪分解とエネルギー変換を助け、体脂肪の管理に関わるのです。
まとめ
アルギニンは直接的もしくは間接的に免疫機能の強化や成長促進、そして疲れの軽減など重要な役割を果たすアミノ酸です。アルギニンを摂取するタイミングによって、より効率的に活用できるでしょう。
例えば、運動前のアルギニン摂取は運動のパフォーマンス向上につながり、運動後のアルギニン摂取は疲労軽減につながります。
そして就寝前のアルギニン摂取は、成長ホルモンの分泌を刺激し、骨の成長促進や代謝アップ、脂肪の分解に役立ちます。
アルギニンは子どもに対しては成長を促すサポーターとして、高齢者に対しては骨粗鬆症の予防に関わるサポーターとして、さまざまな健康維持に役立つのがアルギニンの特徴です。
アルギニンの働きを最大限に活用するためにも、自分のライフスタイルや目標に合わせて、適切な摂取タイミングを選びましょう。